陥没乳頭術|術後に起こりうるトラブル・対応

手術の詳細 ダウンタイム・術後経過 術後に起こりうるトラブル・対応

陥没乳頭術|手術の詳細

乳頭が乳房の内側に埋入(まいにゅう)した状態で、乳管(乳汁を乳頭へ運ぶパイプラインの役目を担っている管)の発育障害が原因とされています。
 
見た目だけでなく、授乳の 妨げになるほか、乳頭や乳腺の炎症の原因になる場合があります。
 
真性陥没乳頭(しんせいかんぼつにゅうとう)(常に陥没しており、刺激しても隆起しない)と仮性陥没乳頭(刺激によって、隆起(りゅうき)する)に分けられます。
 
状態により手術方法は異なりますが、基本的に突っ張りの強い乳管はカットし、一部の乳管は残すようにします。
乳頭周囲に数箇所の切開を加え、乳管周囲の線維組織(せんいそしき)の癒着を丁寧に剥がします。
乳頭を引き出し、再陥没を防ぐための処置を行います。
 


陥没乳頭:切開陥没乳頭:糸で陥没の引き上げ
陥没乳頭:縮んだ乳官のカット陥没乳頭:縫合
陥没乳頭:乳頭の両横をカット陥没乳頭:乳頭を締め付け手術終了

 
【麻酔方法】
局所麻酔 静脈麻酔+ラリンゲルマスク 全身麻酔
 
 

陥没乳頭術|ダウンタイム・術後経過

【ダウンタイム】
個人差があります。
 
■ 腫れ
 
約7~14 日間
内出血や感染症になった場合、腫れが長引く事もあります。
 
 
■ 内出血
 
手術操作によって細かい血管が傷つくと、皮膚の下で出血し、乳頭周囲が紫色になりますが、1~2 週間で消失します。
 
 
■ 消 毒
 
抜糸までの間は、定期的に(翌日・1 週間目・2 週間目)に乳頭の色の確認と消毒を行います。
 
 
■ 抜 糸
 
10~14 日目
 
 
■ 固 定
 
1 週間
再度陥没することを防ぐため、乳頭部分に器具を装着します。
術後1 ヶ月は、ブラジャーで圧迫しないよう気を付けてください。
また、就寝時にうつ伏せで眠ることもお控えください。
 
 
■ 通 院
 
1 日目・7 日目・14 日目
 
 
■ 完 成
 
約3 ヶ月
 
 
【ダウンタイム後の経過】
 
1. 乳 頭
 
○ 腫れやムクミにより一時的に乳頭の大きさに左右差が生じることがあります。
 
○ 手術後、一時的に乳頭の感覚が鈍くなりますが、数ヶ月かけ徐々に改善します。
 
 
2. 傷 跡
 
傷の赤みは数ヶ月かけて、薄茶色(色素沈着)から白っぽい線へと変化し改善します。
 
 

陥没乳頭術|手術後に起こりうるトラブル・対応

【喫煙について】
喫煙は血液の循環を悪くする為、傷の治りが悪くなります。細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。
術前2 週間前~術後最低1 ヶ月は禁煙をお願い致します。

 
手術後4 ヶ月は腫れや炎症が残っているため、傷が酷く残りやすく、また癒着が強く変形が起きやすいため、原則として再手術には適さない時期です。腫れや炎症が治まる4 ヶ月以降に判断し、調整を行わせていただくことをご了承下さい。
 

陥没乳頭術|トラブル一覧

 
A) 効果が不十分
B) 乳頭が大き過ぎる
C) 乳頭の左右差
D) 乳頭の壊死
E) 陥没症状の再発
F) 乳管の切除と授乳への影響
G) キズアトが気になる
H) 感覚の麻痺
I) 感 染(化膿する)
J) 血が溜まる
K) 傷が開く
L) 中縫いの糸が出てくる
 
 

A) 効果が不十分

A-1トラブルの内容
乳管が大変短くなっていますと、乳頭を十分引き出せないことがあります。また、陥没している乳頭の大きさが小さいため、引き出しても乳頭の高さが低くて物足りないことがあります。
 
A-2 対応
効果が不十分と感じる場合は、搾乳機(乳頭を引っ張り上げる器具)の使用で様子を見ます。それでも改善されない場合は、再度手術にて改善を図ります。
 
※ 伸ばせる乳管の長さには、個人差があり限界があります。
   そのため、再度手術を行ったからといって、ご希望の結果を保障できるわけでありません。
   また、状態により乳管を温存した方法では、陥没乳頭の改善が図れない場合があることを御了承下さい。
   乳管を全て犠牲にする方法もご検討ください。
 
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B) 乳頭が大き過ぎる

B-1トラブルの内容
術後3 ヶ月はむくみがあるため、乳頭が大きく見えます。むくみがとれるまで経過をみて頂く必要があります。
 
引き込まれている乳頭を隆起させる手術ですので、基本的に元々の乳頭の大きさが反映され、思ったより乳頭が大きく感じることがあります。
 
B-2 対応
隆起した乳頭が大き過ぎると感じられる場合、乳頭の縮小手術をご提案いたします。
 
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C) 乳頭の左右差

C-1トラブルの内容
隆起させる程度が左右で異なると、術後に左右差が生じる可能性があります。元々の乳頭の大きさや形に左右差があることは珍しくありませんが、その場合術後も左右差が残りやすくなります。
 
C-2 対応
乳頭の大きさに左右差が生じている場合、基本的に、小さい方の乳頭に合わせ、もう片側の縮小を行います。
 
※ 但し、元々の乳頭の状態にもよりますので、再度手術を行っても、完全な左右対称にはならないことがあります。
 
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D) 乳頭の壊死

D-1トラブルの内容
陥没の原因となっている短い乳管や線維組織をカットする際に、乳頭の血管も一部カットします。また術後の陥没を防ぐため、乳頭基部をしめつけるように縫合したり、乳頭を糸でつり上げる処置をしたりします。そのため、乳頭の血流は悪くなります。
 
血行が悪くなりすぎますと、乳頭のピンク色が失われて白っぽくなったり、暗い紫色になったりします。その状態で放置しておきますと乳頭の皮膚や組織が壊死して黒いカサブタになり、はがれ落ちてしまいます。
 
D-2 対応
乳頭の色が白かったり、黒ずんだりして血行不良が疑われる時は、壊死が起こる前に処置を行う必要がありますので、お早めにご来院ください。乳頭のつけ根のしめつけや吊り上げをゆるめる処置を致します。
 
もし壊死が起こった時は、まずキズがふさがるまで軟膏を処方致します。乳頭組織が欠損した場合は、皮膚移植や乳輪の皮膚を使った乳頭再建術をご提案させて頂きます。
 
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E) 陥没症状の再発

E-1トラブルの内容
温存された乳管や線維組織のつっぱりが強いと、術後に乳頭のつけ根のしめつけがゆるんできた時に陥没が再発する可能性があります。
 
E-2 対応
乳頭が陥没してしまった(手術前の状態に戻った)場合は、上記 A)に準じ、再度手術を行わせて頂きます。
 
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F) 乳管の切除と授乳への影響

F-1トラブルの内容
陥没の原因となっている萎縮した短い乳管はカットしますが、一部の乳管は温存するように手術を行いますので、基本的に授乳は可能です。
 
しかし、陥没を防ぐために行う乳頭のつけ根をしめつける処置が強いため、乳管が閉塞して授乳に支障をきたす可能性があります。
 
F-2 対応
乳管の損傷やしめつけによる閉塞のため授乳が出来なくなった場合、授乳を可能にすることはできませんことをご了承下さい。
 
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G) キズアトが気になる

G-1トラブルの内容
体質や縫合したキズ口のずれや治りが悪いことが原因で、傷跡がケロイドのように赤く盛り上がる・凹む・段差になることがあります。
 
※色素沈着が起こった場合は、ほとんど分からなくなります。むしろキズアトの色が白くなった場合に、周りの濃い肌色とは異なるため、目立つことがあります。 
G-2 対応
キズアトが気になる場合は、状態に合わせ、下記の方法を用いて改善を図ります。
 
◆ ステロイド注射(ケナコルト)
ケロイドのように赤く盛り上がったキズを平らにする効果が期待できます。
十分な効果が得られるまで、1 ヶ月に1 回の治療を繰り返す可能性があります。
※またステロイドの副作用として、皮膚や傷が凹む、細かい血管が浮き出るといったことがあります。
 
◆ CO2 レーザー照射
キズアトの段差を削って、なめらかにする効果があります。処置後は3 ヶ月程赤みがあります。
 
◆ 切開法
傷の赤みが消えたうえで再度、切開し縫合いたします。
 
※傷を完全になくす事は不可能であり、目立たなくするという目的であることをご理解下さい。
また、個人の体質的な要因が大きいため、キズアト修正には限界がありますことをご了承ください。
 
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H) 感覚の麻痺

H-1トラブルの内容
手術によって細かい知覚神経が傷つくので、一時的に感覚が鈍くなります。
 
H-2 対応
通常3 ヶ月程で知覚は回復してきます。稀に完全に元の状態まで戻らないことがあります。
 
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I) 感 染(化膿(かのう)する)

I-1トラブルの内容
赤み・痛み・腫れ・熱感が増したり、長く続いたりする場合は、感染が疑われます。
 
I-2 対応
感染が起きた場合は、抗生剤の投与を行います。膿が溜まっている場合は、必要に応じて傷を再度開ける、もしくは、新たに切開し、膿を出す処置を行います。
 
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J) 血が溜まる

J-1トラブルの内容
術後に傷の中で出血しますと、血が溜まって乳頭や乳輪が腫れあがります。血が溜まったままにしておきますと、感染やしこりを作る恐れがあります。
 
J-2 対応
出来るだけ早く処置する必要があります。その際は再度傷を開け、溜まった血液を排出します。
 
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K) 傷が開く

K-1トラブルの内容
糸が外れたり、キズの治りが悪かったりしてキズが開いてしまうことがあります。
 
K-2 対応
傷が開いた場合は、状態によって再度縫合する、あるいは保存的にキズがふさがるのを促すため軟膏を処方致します。
 
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L) 中縫いの糸が出てくる

L-1トラブルの内容
皮膚の下の組織を縫い合わせている糸(中縫いの糸)が出てくることがあります。
 
L-2 対応
放置していると化膿する危険がありますので早めにご来院ください。糸を取り除く処置をさせて頂きます。
 
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