前額部ミニリフト術(頭髪内小切開)

治療の詳細 ダウンタイム・術後経過 術後に起こりうるトラブル・対応

前額部ミニリフト|治療法の詳細

額(前額部)のたるみにより下垂した眉毛、上眼瞼を持ち上げ、額のしわを改善します。

頭髪内を切開し、額の皮膚をおでこの骨から剥離した後、チタンプレートを埋め込み糸で額の皮膚を引き上げる方法です。


前額部ミニリフト術(頭髪内小切開):頭皮内切開前額部ミニリフト術(頭髪内小切開):頭皮を骨から剥がす
前額部ミニリフト術(頭髪内小切開):額の皮膚の持ち上げ前額部ミニリフト術(頭髪内小切開):頭皮内切開の縫合

【麻酔方法】
全身麻酔

前額部ミニリフト|ダウンタイム・術後経過

【ダウンタイム】
個人差があります。

■ 腫(は)

1~2 週間程で目立つ腫(は)れはひいていきます。

■ 内出血

細かい血管が傷つくと、皮膚の下で出血し紫色や緑色になりますが、2~4 週間で消失します。

■ ドレーン(管)

皮膚の中に血が溜まるのを防ぐ為に血を抜く管を挿入します。翌日~3 日間留置することがあります。
管を抜く際に傷口から出血することがあります。来院の際、感染防止の為抗生剤点滴を行います。

■ 抜 糸

2 週間後

■ メイク

傷口以外はドレーン抜去の翌日から、傷口部分は抜糸の翌日から可能です。

■ 完 成

4~6 ヶ月

■ 通 院

1 日目・(2 日目)・1 週目・2 週目

【治療後の経過】

1. むくみ

術後1~2 ヶ月はムクミが残るため、目の上が腫れぼったく感じることがあります。

2. つっぱり感

術後1~3 ヶ月はつっぱり感のある顔になりますが、徐々になじんできます。

3. 傷

傷の赤みは数ヶ月かけて薄茶色(色素沈着)から白っぽい線へと変化し改善します。
3~6 ヶ月は傷が硬くなりますが、徐々に改善されます。

4. 額の皮膚の凹み

額の生え際の皮膚を裏側から糸で引き上げますので、皮膚の表面にえくぼのような凹みができます。3 ヶ月程で消失します。

前額部ミニリフト|術後に起こりうるトラブル・対応

【喫煙について】
術前2 週間前~1 ヶ月は禁煙をお願い致します。喫煙により血液の循環を悪くすることで、傷の治りが悪くなります。
その為、傷口が赤く盛り上がって目立つ、また、頭の中の傷口の脱毛箇所が広くなってしまうことがあります。
また、細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。

手術後4 ヶ月は腫れや炎症が残っているため、傷が酷く残りやすく、また癒着(ゆちゃく)が強く変形が起きやすいため、原則として再手術には適さない時期です。腫れや炎症が治まる4 ヶ月以降に判断し、調整を行わせていただくことをご了承下さい。

前額部ミニリフト|トラブル一覧

A) 感染(化膿する)
B) 中縫いの糸の露出
C) 血が溜まる
D) 皮膚の壊死
E) 引き上がりの左右差
F) たるみが残る
G) 額のしわが残る
H) 引き上がりが強すぎる
I) 二重のラインが短くなる
J) 傷の段差・凹み

K) 傷が赤く盛り上がる(ケロイド状)
L) 脱毛する(はげる)
M) 額の皮膚の凹みが目立つ、長引く
N) 顔面神経麻痺(眉毛の動きの麻痺)
O) 額、頭頂部のしびれ・知覚鈍麻
P) 額の広さの変化
Q) 毛嚢炎(もうのうえん)
R) レントゲン・CT・MRI に対する影響

A) 感染(化膿(かのう)すること)

A-1トラブルの内容
手術後、熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。

A-2 対応
感染が起きた場合は、内服薬の服用、抗生剤の投与、洗浄をします。また、感染がひどいケースでは、傷口の一部を再度切開し膿を出す必要があります。

大変稀なことではありますが、チタンプレートが感染の原因となることがあります。その際は、金属プレートの抜去が必要となります。

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B) 中縫いの糸の露出

B-1トラブルの内容
中縫いの糸(皮膚の下の肉を縫い合わせる糸)が露出することがあります。
放置していると化膿する危険がありますのでお早めにご来院ください。

B-2 対応
糸を取り除く処置をさせて頂きます。

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C) 血が溜まる

C-1トラブルの内容
傷の下で出血し大量の血が皮膚の下に溜まってしまい、こぶのように紫色に腫れ上がることがあります。
放置しておくと、皮膚が引っ張られ過ぎて血行が悪くなり、皮膚が壊死する可能性がありますので、緊急に処置が必要です。

C-2 対応
傷口の一部を再度切開し、溜まった血を排出する処置を行わせて頂きます。

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D) 皮膚の壊死

D-1トラブルの内容
皮膚を引っ張って傷を縫い合わせるため、傷口の緊張が強く、皮膚の血行が悪くなります。そのため、傷口付近の皮膚が壊死し、黒いかさぶたになることがあります。

喫煙、術後の強い腫れ、大量の血が溜まるといったことが起きますと、引き上げた皮膚の血行が悪くなり、壊死する危険が高くなります。

D-2 対応
皮膚が壊死した場合は状態により必要な処置をさせて頂きます。
ほとんどの場合、壊死する範囲は小さいので周りの皮膚が伸びてきて傷がふさがるのを待つことになります。
その間、傷の治りを早める軟膏をお渡ししますので1 日2 回塗って下さい。
壊死してしまった部分の傷がふさがると赤黒い傷跡になり、半年程かけて徐々に白くなっていきます。

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E) 引き上がりの左右差

E-1トラブルの内容
剥離する広さや引き上げる力や術後の後戻りが右と左で異なりますと、リフト効果に左右差が出ることがあります。特に術前から眉毛の高さに左右差がある人は、術後も眉毛の左右差が残りやすい傾向があります。

E-2 対応
引き上がりに左右差が出た場合は、ご希望であればたるみの多い部分を再手術させて頂きます。

※ 但し、再手術を行っても完全に左右対称にならないことがあります。また、再度皮膚を引っ張ることで、傷口の緊張が強くなり、傷がケロイドのように赤く盛り上がる、皮膚が壊死する、脱毛の部分が広くなるといったトラブルが起こりやすくなることをご理解下さい。

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F) たるみが残る

F-1トラブルの内容
眉毛が上がり過ぎないように額のリフトをひかえ目に行った場合、多少たるみが残ります。
手術の時に強く額の皮膚を引き上げても前額リフトは術後に後戻りが起こりますので、たるみが生じることがあります。

額にはまぶたが閉じられるだけのゆるみが必要ですので、そのゆるみの分だけたるみは残ります。
上まぶたのたるみが強い場合は、前額ミニリフトだけでは目の上のたるみを十分に取ることができません。

F-2 対応
術後に残ったタルミの改善を希望される場合は、再度リフト手術をさせて頂きます。

※ 但し、引き上げれば引き上げるほど傷口に緊張が加わり、傷口のケロイド、脱毛、皮膚の壊死、額のつっぱり感、等の症状が出やすくなりますので、やりすぎでない程度のリフトをおすすめいたします。

目の上のたるみが多い場合には、額リフトをしても瞼のたるみが残ります。その場合は、埋没法や全切開による重瞼術や上眼瞼リフトをおすすめいたします。

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G) 額のしわが残る

G-1トラブルの内容
① 切開部より皮膚を引っ張るため、切開部より離れた部分ほどシワが残ります。
② 術後も眉毛を動かす筋肉に力を入れると額にしわができます。
③ 皮膚に深く刻み込まれたシワはリフトをしても完全に消すことができないことをご理解下さい。

G-2 対応
① 残ってしまった額・目元のシワにはヒアルロン酸注入やボトックス注射が効果的です。
② 筋肉の動きによってできる額のシワを目立たなくするにはボトックス注射が効果的です。
③ 刻み込まれたシワの改善には、ヒアルロン酸注入や炭酸ガスレーザーで皮膚とシワを削る、あるいは、直接シワを切り取るといった方法があります。

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H) 引き上がりが強すぎる

H-1トラブルの内容
前額ミニリフトは術後に後戻りが起こりますので、手術の時はできるだけ強く額の皮膚を引き上げておきます。そのため、3 ヶ月ほどは引き上がり過ぎていると感じることがあります。

H-2 対応
術後3 ヶ月程は突っ張り感が強いのですが、徐々にゆるみが出てなじんできますのでお待ち下さい。
6 ヶ月経過しても上がりすぎていると感じる場合、引き上げた額の皮膚をゆるめて下げる手術をさせて頂きます。
その場合、同じ傷を切開して頭皮を頭の骨からはがしてリフトを戻します。

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I) 二重のラインが短くなる

I-1トラブルの内容
二重の上に被さる皮膚が少なくなると二重の折れ込みが浅くなり、目頭や目尻の二重の長さが短くなる事があります。

I-2 対応
二重に被さるタルミが少なくなることで生じる必然的な結果です。

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J) 傷の段差・凹み

J-1トラブルの内容

出来るだけ丁寧に縫合しますが、肌の性質により傷跡の段差や凹みが起こる場合があります。
J-2 対応

その場合は、CO2レーザーを照射し、削って滑らかにする、ぼかす等の処置を行わせて頂きます。レーザー処置後は治療部位に赤みが3ヶ月程残ります。

レーザーで修正できない程の大きな段差や凹みは、傷を切り取って縫い合わせます。

K) 傷が赤く盛り上がる(ケロイド状)

K-1トラブルの内容
切開部の傷が赤く盛り上がる場合があります。傷の治りが悪い時や傷の周りの皮膚の緊張が強い時やケロイド体質の場合に盛り上がりがおこりやすくなります。

K-2 対応
盛り上がった部分にステロイドの注射をすることにより傷を平らにする効果が期待できます。

※ 十分な効果が得られるまで、1 ヶ月間隔で繰り返さなければならない場合もあります。
またステロイドの副作用として、皮膚や傷が凹む、細かい血管が浮き出るといったことがあります。

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L) 脱毛する(はげる)

L-1トラブルの内容
頭の中の髪の毛が生えている部分を切開した場合、頭皮の血流が悪くなって一時的に傷の周囲が脱毛することがあります。

L-2 対応
傷の周囲の脱毛は半年程でほとんど回復します。頭の中の髪の毛が生えている部分を切開した傷痕は、最終的に2~5ミリの脱毛が残ります。

◆ はげてしまった部分の周囲に皮膚の余裕があれば、再度切開し縫い縮めることにより、脱毛部分の幅を小さくすることができます。
他に植毛という方法もありますので、ご希望の場合にはご相談下さい。

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M) 額の皮膚の凹みが目立つ、長引く

M-1トラブルの内容
額の皮膚を裏側から引き上げるために皮膚表面に凹みができます。

M-2 対応
皮下の吊り上げによる凹みは3 ヶ月程で目立たなくなるため、経過を待って頂きます。しかし、その間凹みが目立って困ってしまうという場合は、術後1 ヶ月以降に凹みの部分にヒアルロン酸を注入し、目立たなくする処置を行わせて頂きます。

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N) 顔面神経麻痺(眉毛の動きの麻痺)

N-1トラブルの内容
手術操作の際にこめかみから額にかけて走行する顔面神経が引っ張られて麻痺することがあります。その場合、眉毛が上がりにくくなります。両側に麻痺が起こることもありますし、片側のみ麻痺が起こることがあります。片側の場合は眉毛の高さの左右差が目立ちます。

N-2 対応
眉毛の動きの麻痺は、通常1 ヶ月から半年で自然回復します。麻痺が回復するまでの間、左右のバランスを整える目的で、麻痺とは反対側にボトックスを注射させて頂きます。
ごく稀に、完全には麻痺が回復しないこともあります。

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O) 額、頭頂部のしびれ・知覚鈍麻

O-1トラブルの内容
手術操作の際に目の上の知覚神経をひっぱることがありますので、額の表面から頭頂部の知覚が鈍くなります。また、知覚が回復する際にかゆみを感じることがあります。

O-2 対応
ほとんどの場合、3~6 ヶ月以内に自然に回復します。
ごく稀に、完全に元に戻らないこともあります。

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P) 額の広さの変化

P-1トラブルの内容
頭髪内を切開し額の皮膚を上に引っ張ると、髪の生え際が引き上げられますので、術前に比べ額が広くなります。

P-2 対応
元々額が広い方の場合は、生え際の部分を切開し、髪の毛が生えていない部分の皮膚を取り除く方法をお勧めいたします。

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Q) 毛膿炎(もうのうえん)

Q-1トラブルの内容
切開した傷の周囲は、髪の毛が生え揃うまで(術後1~3 ヶ月程)、毛膿炎が起きることがあります。

Q-2 対応
毛膿炎が生じた場合は、状態に応じて薬を処方させて頂きます。

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R) レントゲン・CT・MRI に対する影響

R-1トラブルの内容
レントゲン・CT・MRI いずれの検査も問題なく受けていただけますが、固定金属は写ります。

R-2 対応
人体に問題なく、骨になじみの良い金属を使用しているため、原則的には抜去する必要はないと思いますが、どうしても気になる場合は、手術後4 ヵ月以降に抜去可能です。

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